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我が家の掟

今週末には8月に突入する。


お盆もすぐにやってくる。



九州は8月13、14、15日はお盆といってお墓参りや初盆参りで人が動く。

ピンとこない方もおられるかも知れないが、九州では年末年始やゴールデンウィーク並のイベントなのである。

人々は真夏の先祖供養フィーバーに束の間の非日常を楽しむ。

初盆や帰省にはちょいと気の効いた手土産やご進物をさげていく。



「ぶどう下さい。」


うちにはぶどうしかない。


1キロ1600円。




安くはない。


一見のお客様にはウチの値段を聞いてびっくりして帰られる方もおられる。


無理もない。

スーパーならば一箱980円で売っている。






安くはないが、この価格にはワケがある。



大学生の頃、父親に聞いてみた。



「ウチの生活費が○×万円やろうが。それから経費が△○万円、お前の学費がいくらで今年は車を買い換えるからぜ~んぶで□◇×○万円よ。ここで出来るぶどうが☆○トン位やからさっきの金額をキログラムあたりに換算したらそのくらいの単価になろうが。」



なるほど。



わかりやすい。



そういうわけで、ぶどうの単価が形成されている。




今では我々穀潰3兄妹は独立し両親二人生活できるだけの経営に縮小してしまったが、やはり単価の設定はそのくらいになる。


単価が高いからといってボロもうけをしているわけではない。


まあ、夫婦二人がなんとか生活できるくらい。



この売価でそのレベルなのだから、これより流通経費がかかっているスーパー980円のぶどう農家の経営たるや、推して知るべし、なのである。



当たり前に農業をやっていても当たり前の生活が出来ない、そういう世の中になってしまった。



今日、社会全体でワーキングプアが蔓延しつつあるが、農業はずっと以前からこういう状況が続いている。




8月から9月の4、50日で年収を売り上げようというのだから忙しい。


需要はお盆に集中する。


何歳になろうが、どれだけ偉くなろうが、12、13、14、15日はぶどうを売る。


これが我が家の掟。



私は就農せずにサラリーマンになったが、あととりなんだからこの時期は諦めてぶどうを売る。

弟は歯科医になり、直売所のとなりに開業したが、やはりぶどうを売っている。

妹は去年結婚し、嫁いだ家に従うためぶどう売りは免れた。



掟だから仕方がない。



ふぅ。


今年もお盆がやってくる。
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ワケ

「今年は果実の市況が厳しいらしいな」

父が切り出した。

ぶどう作り50年のこの男、毎年この時期になると少し弱気になる。

どうやらぶどうの売値を少し下げようか迷っているようだ。

1キロ(2房~3房)1600円という例年の価格を100円下げるかどうかというもの。


スーパーで350gパック(一房)398円、生協で800g(二房)980円位が相場である。


これと比較するとウチの売価はキロ400円ほど高い。

まあ、一房売りか1キロ売りかという量目の利便性はさっ引いて考えると明らかに1600円は突出している。

これを1500円に引き下げたとて同じである。

別に孤島に1軒だけのぶどう園だ、とかまわりに競合する果樹園が無いわけではない。

直売所の目前にあるものを含め半径1キロ以内には2つのスーパーがあり、直売をしている農家は町内に4,5軒ある。

ぶどうを買いに来て下さるお客さんは、その価格に見合った価値を手嶋ぶどう園に見ておられる。


父は、この強気の価格に見合った価値を果実に込めようと1年間いや、40数年もの間、必死で頑張ってきた。



マーケティングの基本は、その商品やサービスが売れ続けることでその顧客や社会が向上する仕組み作りにある。

そこまで構築出来れば利益は後から着いてくる。

ぶどう園の社会的存在意義を問われれば、それは美味いぶどうをお客さんにお届けし、一時の幸せをかみ締めていただくこと。


そこを突き詰めていけば、ひたすらに糖分の高い果実栽培にたどり着く。


そのことに真っ正面からとっ組あい、苦しみもがいて必死でやってきた父。


ぶどうが甘くなる技術はほぼ確立した。

秘伝という訳ではない。

私ならばその技術を囲い込み、ビジネスのコアにしてしまうのだが、どういう訳だかこの男、講習会とかなんとかを開いては、その技術を仲間達に広めようとする。


あんたが普及員になればよかったね。


家にいるより畑にいる時間の方が長い。

夜も電気を付けて畑でぶどうを見ている。楽しいのか?と聞いたことがある。


「楽しいな。俺はぶどうの栽培が好きなんよ。」


その父が、ぶどうの直売開始を目前にしたこの季節、少し弱気になる。

そうか。


いくら頑張ったからといって、好きだからといってその評価はシビアに売り上げという数字で表される。

不安なんだな。




よし。


親父、俺に任せろ。
 


手嶋ぶどう園からお客様へ。

果実の甘さ、それ以外に何かメッセージを届けよう。

「手嶋ぶどう園 ぶどう畑通信」これに甘さに賭けた情熱や、その後ろにある喜びや苦労、手嶋ぶどう園の等身大を見ていただこう。


そのことで甘さ以外の何かを感じて頂けたら、それは手嶋ぶどう園にとっての幸せ。

一昔前まで6割が農家だったこの国の農家人口は全体の4%にまで減少した。


社会の中で農業が果たしてきた役割を担うには、農家が少なすぎる。


失ってしまった農の役割。

嗜好品である果実の農家でもやり方を考えれば何か出来るかも知れない。




先日、収穫間近の果実に襲いかかってくる野鳥との戦いをA4一枚にまとめ、「手嶋ぶどう園 ぶどう畑通信」を制作し、父に渡した。


「こういうのを暑中見舞いと一緒に送ったらいいんよね」

反応は悪くない。

いや、店に来たお客さんに配ったらいい。郵送料も要らん。週に1回くらいのペースでつくるから、その都度500枚位を配りきってよ。そしたらリピーターにも繋がるから。


翌日、店を覗いてみた。あら。店頭に通信がない。1日で配りきったか? 聞いてみた。



「あ、あれか。あれな。配ってない。」









なんで!!!!


「あれ、配るのはずかしい。」



・・・・。


ちょっと等身大過ぎたか。


悪くはないんだが、自分のことをそのまま書いているので本人がそれを配るのは恥ずかしいんだそうだ。

園主がそういうんだから仕方がない。


手嶋ぶどう園ぶどう畑通信!第1刊にて華々しく廃刊。


090728_1143~01
※画像は幻の手嶋ぶどう園ぶどう畑通信


「おまえの得意なネットとかそういうのやったらいいぞ。けど、ここで配るのはつまらん。」




これがこのブログが立ち上がった理由。



また遊びに来て下さい。




ヤツらの野望

朝、草刈りをしているおいちゃんを見かけた。

その周りにたくさんのトンボが群れていた。

オレンジ色のトンボがおっちゃんの周りにいっぱい!


ほー。トンボって人なつっこいんだな~。

おっちゃんとトンボ達は、なにやら甘~い雰囲気に包まれて戯れているように見えた。


…。


じっと見ているとなんか違う。


どうも彼等はおっちゃんが好きなワケではないみたいだ。

彼等のお目当てはおっちゃんの唇ではなくって、草刈り。

正確に言えば草刈りに驚いて逃げ出す小さな虫達。


これを捕らえて食べようと集まってきたのだ。


そういうことか。


時に愛くるしくも見える虫達の仕草。

これも本能に裏打ちされた生命維持に直結した行いなんだな。

このトンボ達、ウスバキトンボという種類。

夏から秋にかけて、田んぼや草むらでよく見かける。


ウスバキトンボ

夕焼けこやけ~の赤とんぼ~のトンボとは違う。ウスバ゛黄゛トンボだから黄色なのだ。

毎年決まってこの時期に見かける。


彼等はもともと熱帯、亜熱帯に生息する種である。

長旅が得意で、東南アジアあたりから遠路はるばるやってくる。

毎年春頃九州や四国にたどり着くらしい。




は~やれやれ、日本に着いたぞ。

ここで子孫を増やし日本でウスバキトンボ帝国を築いてやる!

たどり着いた九州には田植えで水が当てられた水田があちこちにあるではないか!

この水田が彼等の繁殖地として最適な環境なのだ。


オー!ナイスにっぽん!

なんて気の利いた国なんだ!


持ち前の繁殖力でたちまちのうちに栄耀栄華なウスバキワールドを築き上げ、九州、四国を制圧。


田植え前線とともに本州を北上し、ついには北海道も手中におさめる。

人間が何百年もの戦乱で成し得たことをヤツらはほんの半年足らずでやり遂げるのである。


しかし、ヤツらは南国生まれ。寒さには滅法弱い。

残念ながら日本の冬はヤツらには冷た過ぎた。

寒さの訪れとともに死に絶えてしまうのである。


それでも彼等はあきらめない。

去年と同じように長旅をし、水田に卵を産み、繁殖する。

恐らく人間が文化を持つずっとずっと以前から続けられてきた営みに違いない。




日本の農村と順応したウスバキトンボ達。


いや、自然に我々人間が順応した、という方が正しい。


地球の大先輩に「諦めない」という命の根源とその力強さを見せつけられた。


今も虎視眈々と日本制覇を狙っている彼らに、農村は認められたのである。


熱い視線

 今年も七月十八日からぶどうの収穫が始まりました。収穫というのは農業の中でも心躍るうれしい作業です。春に芽吹き、花が咲く。お日様を葉でいっぱいに受け止め、小さな果実は少しずつ成長していきます。七月に入ると果実に色がつき、園にはほんのりと甘い香りが漂い始めます。さあ!いよいよ待ちに待った収穫!私たちがそう胸を高鳴らせている隣でやはりぶどうの果実に熱い視線を注いでいる奴らがいます。ヒヨやカラスなどの小鳥たち。「僕のかわいい小鳥ちゃ~ん♪」熟れてきた果実から片っ端に食っていく。

 鳥からの襲撃を阻止する方法はいくつかある。まず、音で脅かす方法。水田などで見かける雀脅しがそうで、プロパンガスなどの爆音機がタイマーにより作動する仕掛けになっている。うちの園にはそういう仕掛けはないが、ロケット花火で時々脅す。そのときはパーッと逃げていくのだが、人がいなくなるとまたやってくる。くそう!ニオイでブロックする方法。鳥の嫌いなニオイがでる薬剤を園に置き、近づけないようにする。このニオイは鳥もいやがるが、我々人間もいやになるので、ちょっと敬遠したい。それから筋糸トラップ。鳥に見えるか見えないか微妙な色の筋糸を張り巡らし、鳥に危険な雰囲気を察知させ敬遠させる方法である。これはカラス等の賢い鳥に効く。最近の傾向として、カラスよりもヒヨや名前も知らないこれまで見たこともないような種類の鳥がやって来てはぶどうを食べている。こいつ等にはこの筋糸作戦が余り効かない。最後の手段が、防鳥網作戦。物理的に鳥が入ってこれないように園をすっぽり網で覆ってしまう。これならば、敵が賢かろうがアホだろうが関係ない。幽霊や煙でない限りは通り抜けることは出来ない。

 今日栽培されているぶどうは自然にあった品種から栽培しやすいように美味しい果実が出来るように人間が品種改良したものではあるが、ぶどう自身がこのような果実を付けるのには訳がある。彼らは美味しい果実を実らせ、その中にある種もろとも鳥や動物に食べられる。そのことで種子は遠くへ運ばれ、種子の生育に必要な栄養素となるフンとともに排出され、自分達の子孫を広域に分布させ種が生き残る可能性を少しでも広げようとしているのである。そうなのだ。あの甘い香りや美味しいそうな色は、鳥や動物たちを誘っている。ぶどうからの熱烈なラブコールを受けたのだから小鳥ちゃん達も目がハートマークになって押し寄せるのも無理はない。日に日に被害は増すばかり。夏に食べようと畑の隅に植えていたスイートコーンもいつの間にやら芯だけになっていた。くそう!冗談ではない。せっかくここまで漕ぎ着けて、美味しいところだけかっさらわれていかれたんじゃ、こっちぁおまんまの食い上げだ。

 防鳥網。

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これがまた、鳥が引っかかるように出来ている網なもので、ぶどうの枝やらハウスのネジ頭やらに引っかかってもう。ムキー!っとなりながら、容赦ない日差しにやられながら七月十七日と十八日の二日間で防鳥網を取り付ける作業を終わらせました。やれやれ。網を張ってから奴らの行動を見ていると、園を見渡せる木の上にとまり、まわりの仲間に異変を知らせるような鳴き方をしばらくしているかと思ったら、飛んでいなくなりました。鳥と人の知恵比べ。今のところ人間様の勝ち!

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↑がんばっている俺

 自然の摂理を利用しながら、その恩恵を横取りしているのは我々人間様なんだし、ちょっとぐらいなら目をつぶるのですが、これだけやられるとそうも言ってはいられない。自然が相手というのは全く持って骨の折れるこっです。
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プロフィール

てしまぶどう園

Author:てしまぶどう園
川崎町にあるちっちゃなぶどう園。
私はそこで生まれ育ちました。
手嶋ぶどう園では、ぶどうづくりをぶどうに任せることにしました。
私たちはぶどうの声を聞き、ぶどうがやりたいようにやるお手伝いをしています。
自然に任せて自然のなかで生きる。

そういう生き方ができたらいいなと思っています。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@
手嶋ぶどう園
電話0947(72)3273
fax 0947(72)5454
〒827-0004
福岡県田川郡川崎町田原
田原交差点そばジョイフルの前
営業時間
朝8時30分~夕方6時
※17時以降ぶどうが無くなると閉店します。
遅くにご来店の際はご連絡下さい。
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